映画「LOGAN/ローガン」これが最後のウルヴァリン(原題:Logan)
LOGAN/ローガン
2017年6月1日公開
監督 ジェームズ・マンゴールド
キャスト ヒュー・ジャックマン
ダフネ・キーン
ボイド・ホルブルック
スティーブン・マーチャント
エリザベス・ロドリゲス
リチャード・E・グラント
公開初日でしたが映画の日に休暇だったので行ってきました!
平日ではありましたが劇場は混んでましたねー。感想は後半に書くとして簡単なあらすじの紹介です。
ネタバレは後半でしますのでご安心を。
あらすじ
既にミュータントの大半が死滅した2029年。長年の激闘で心身共に疲弊しきったローガン(ヒュー・ジャックマン)はもはや不死身の存在ではなかった。
体内に埋め込まれたアダマンチウム合金の毒に蝕まれ治癒能力は衰え、生きる目的さえも失った彼は、雇われのリムジンの運転手として日銭を稼ぎ、メキシコ国境近くの廃工場で暮らしていた。
片やプロフェッサーXことチャールズもアルツハイマー病を患い、自身のテレパシー能力でさえ制御できず薬に頼るしかなく、同じ廃工場のタンクの中での生活を余儀なくされる。
そんな日々の中で、アメリカの大企業「トランシジェン社」その研究所ではミュータントの"開発"が行われており、その中の一人の少女「ローラ」は看護師ガブリエラ達の手助けで脱出に成功する。
そのガブリエラはローガン達にローラをカナダ国境付近のノースダコタまでの保護と移送を依頼するのだが、、、
キャスト
ローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)
南北戦争からベトナム戦争まで数々の戦いを生き抜いてきた彼だがもはや無敵ではなくなっていた。
アダマンチウムの毒に侵され、治癒能力は衰え、刃が飛び出す拳さえも膿んでしまう有様。
一時はミュータントと人間の共存する未来に希望を抱いたが、ミュータントが絶滅した今はその夢も断たれ絶望し、死にたいとさえ思っている。
新たなミュータント「ローラ」の出現で彼の最後の人生は変わる事が出来るか。
ローラ/X-23(ダフネ・キーン)
トランシジェン研究所で造られた人造ミュータント。コードネームはX-23
完全体X-24が完成した為に安楽死させられる所を脱出する。
人を殺す訓練を叩き込まれており、戦闘力の素質はローガンをも上回る。
性格は自由奔放。しかし子供には変わりなく、時折みせる行動は微笑ましい。
ちなみに演技はデビュー作とは思えない程素晴らしかった。
プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)
すでにプロフェッサーXの面影はなく、アルツハイマーを患い、発作を起こすと自身のテレキネシスが暴走してしまう。
それを薬で抑えるしかないのだが、年寄りだからよく薬を飲み忘れ、幾度となく大惨事を引き起こす(しょうがない)
しかし彼だけはミュータントの未来に絶望しておらず、ローガンにローラを助けるよう幾度となく説得する。
ちなみにヒュー・ジャックマンと彼はX-MEMでの出演は最後らしい。
ドナルド・ピアース(ボイド・ホルブルック)
片手が義手のトランシジェン社の追跡者。ローラ奪還に執念を燃やし、武装集団を引き連れ執拗に追い続ける。
イケメンだなと思ったら元モデルだそうです。納得
ドクター・ライス/ザンダー・ライス(リチャード・E・グラント)
ザンダー(サンダー)・ライスでゴロピカリ*1を思い出したあなたは群馬県民。
トランシジェン研究所の遺伝子科学者。父親はローガンにアダマンチウム合金を移植した科学者。浅からぬ因縁といえる。
ここから全てネタバレするので鑑賞する予定の人は注意!
感想
最後のウルヴァリンだったのと、予告編の出来が素晴らしかったのでかなり期待して鑑賞しました。
しかし期待とは裏腹に、少し間延びしたストーリーで上演時間が長く感じてしまいました。
強さを保てていないのは分かっていたので、その中でも弱くなったローガンが七転八倒しながらも、真摯にローラを守り続けるのを想像してしまったんですね。
でも劇中の彼は未来に最後まで絶望していて、自分の過去からも父親としての自分からも逃げ、
向き合ったのは本当に最後の方でした。最初はプロフェッサーXだけを助け、ローラは見捨てる程だったんです。
X-24というウルヴァリンの若かりし頃の人造ミュータントが出て来るのですが、
そのX-24の出現でプロフェッサーXの救助かローラ救出の二者択一を迫られるシーンがあるのですが
彼は迷うこと無くプロフェッサーXを選びます。
ここでも彼はまだ過去に捕らわれていて未来を信じる事が出来ないままなんですね。
結局プロフェッサーXは死んで、ローラ救出も成功させるのですが
プロフェッサーXを失った絶望感が大き過ぎて、慰めるローラを拒絶してしまうんです。
もし娘として受け入れていたのならば、抱きしめて一緒に悲しんだのではないかと思わずにいられないのです。
ローラは遺伝的にも娘なのですが、そこにまだ父性はなくローガンの内面を象徴するシーンだったのかなと感じました。
ジェームズ・マンゴールド監督作品は「3時10分、決断の時」が好きで
あの作品の主人公ダン・エヴァンスは過酷な日常から目を背ける事なく最後まで家族の為に戦い死んでいったのですが、それを"ローガン"にも期待してしまったのです。
今回はX-MENのストーリーから大きく外れ、ウルヴァリンの人間性に焦点を当てた作品だったわけですが
その人間性を強調する余り、少し後ろ向きに描き過ぎたかなー。と思ってしまいました。
勝手な期待なんですけどね。
対してローラ役のダフネ・キーンですが素晴らしい演技だと思いました。
アクションシーンも見事にこなし、最後の感傷的な場面も涙を誘う演技でした。
作品中、車のドアロックのツマミを執拗に上げ下げする遊びをするのですが、無表情でし続けるので思わず笑ってしまいました。
「人間は人生を変えることはできない。例え正しい行いをしても人を殺した烙印からは逃れられない」
「だから家に帰ってママに伝えなさい。谷から銃は去ったと」
西部劇「シェーン」に出てくる有名な台詞のなですが、これが劇中で何度も引用されています。
主人公シェーンは密かに恋心を抱く人妻マリアンの気持ちに気付きながらも
彼女とその家族の為に単身で決闘に向かい、あえて人殺しの汚名を被り、最後は去っていくという
(かなり)カッコイイ西部劇なのですが
恐らくは"ミュータントと人間の関係"を表した比喩だったのだと思います。
「(ミュータント)は人生を変えることはできない。例え正しい行いをしても(ミュータントという烙印)からは逃れられない」
「だから家に帰ってママに伝えなさい。谷から銃(ミュータント)は去ったと」
シェーンは決闘を終えた後、人妻マリアンの息子ジョーイに銃は去った(悪い奴は死んだ)と言うのですが、これは人殺しである自分自身も含めての事なんですね。
シェーンの男らしい清い決断であり、映画「ローガン」でも最後に残ったミュータント達が、国境を越え去って行きます。
そう考えると"ミュータントと人間の共存は難しい"と作品は伝えているんだと思いました。
現実にはミュータントは居ないわけですが、映画「ズートピア」以降ハリウッドで昨今流行している
「多人種の共存」
とは少し距離を置いた作品であるとも言えます。
トランプ大統領台頭以降、ハリウッドで長く続いてきたこのテーマにも、そして評論家達のそれに結びつける風潮にも少々満腹だったので、そういう意味では新鮮でした。
劇中の最後、ローラに見守られながらローガンが死んでいくシーンで
「やっと分かったよ。(父親とは)こんな感覚なのか」
というシーンがあるのですが、頑なにローラを拒絶し続けたローガンだからこそグッとくるシーンなのでしょう。
あの無敵な男でも死ぬんだなと、誰もが思い知らされます。
さあ、今までのX-MENとは一線を画した「LOGAN/ローガン」
鑑賞後のあなたはどう感じましたか?
ヒュー・ジャックマン最後のウルヴァリン。
その意志は最後を看取ったローラに受け継がれるのでしょうか?
次作があるとすればローラの心を救う役は誰になるのでしょうか?
続編があれば残ったミュータント達が軸になるのでしょうか。
いずれにしても命を救ってくれたローガンをローラはいつまでも忘れないはずです。
きっと彼以上に強くなってミュータントの希望として、そして人間との架け橋として成長してくれたらなと思います。
映画「LOGAN/ローガン」TVCM (STORY編30秒)