日本劇場未公開作品「フェンス」(原題:Fences)D.ワシントン、V.デイヴィス(アカデミー賞助演女優賞)
フェンス
2016年(日本未公開)
監督 デンゼル・ワシントン
キャスト デンゼル・ワシントン
スティーブン・マッキンレー・ヘンダーソン
ジョヴァン・アデポ
ラッセル・ホーンスビー
ミケルティ・ウィリアムソン
Fenceとは、囲い、柵や障害物を表すそうです。
今年春のアカデミー賞授賞式の時からずっと見たいと思っていた作品が
先日WOWOWでやっていたので観ることができました。
「フェンス」とはどんな作品か。元々は舞台作品で数々のトニー賞を受賞してる作品なんだそうです。
それを映画化したわけですね。
作品的には暗い内容なんですね。
家族愛と確執と人種差別と自由と。
なぜ日本で未公開なのか分かりませんが、近年マーベルやディズニーやコミックの映像化作品が目立つように
興行収入的に「儲からない」と判断されたのでしょうか。
作品のトーンとしては、やはりアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーン・ライト」と変わらない
むしろそれよりは明るい内容なんですけどね。
あっちは人種差別とLGBTを扱った、もっと息苦しい作品でした。
ストーリー
舞台は1950年代ピッツバーグ。まだ人種差別が当たり前の時代
デンゼル・ワシントン演じるトロイはゴミ収集車の仕事をする一家の大黒柱。
ヴィオラ・デイヴィス演じる妻ローズ。
夫を常に支え、子供達を愛し一家は愛に包まれているかのように見える。
一家に大きな大木の様に君臨する主トロイ。
しかし彼は自身の差別された過去から次男コーリーの成長と向き合う事ができず、次男を家から追い出してしまう。
トロイとローズと次男コーリーと、演奏者を目指し定職に就かず小遣いをせびる長男ライオンズ
そして第二次大戦で頭部を負傷し、奇怪な行動を繰り返すトロイの兄弟ゲイブ
こんな家族を切り抜いた作品です。
キャスト
トロイ(デンゼル・ワシントン)
一家の大黒柱。少年期から親と離れ、不幸な人生を歩んだが
二人目の妻ローズと出会い人生を変える。
元黒人リーグの野球選手で成績優秀だったにもかかわらず
黒人だったためにメジャーに行くことが出来なかった。
その苦い過去を、大学からスカウトが来る程のフットボーラー次男コーリーにぶつけて
チャンスを握りつぶしてしまう。
ゴミ収集車の仕事に就いているが家計は貧しい。
妻ローズ(ヴィオラ・デイヴィス)
夫を愛し、子供達を愛する献身的な妻。
人生のすべてをトロイに捧げてきた。
しかし胸の内は本人しか知らず、夫トロイの暴君的な態度と
子供達との板挟みになり苦悩していたのだった。
彼女が泣きながら、トロイに悲痛を訴えるシーンは作品中NO1の演技。
コーリー(ジョヴァン・アデポ)
夢はNFLの選手。
高校のフットボールチームに所属し、大学からもスカウトが来る
シーズン中はバイトが出来ない事を父トロイに許して貰えず
スカウトも勝手に断られ確執は取り返しがつかない所まで深まる。
父と解り合える日は来るのか。
ガブリエル(ゲイブ)(ミケルティ・ウィリアムソン)
トロイの弟。
第二次大戦中、沖縄で頭部を負傷し
それにより奇怪な行動を繰り返すようになる。
何度も警察に捕まり、その度にトロイが骨を折って釈放させている。
しかし、家族で唯一「フェンス」に囚われていなかった彼は
最後にささやかな奇跡を見せる。
胸を打つ素晴らしいシーンだった。
ライオンズ(ラッセル・ホーンスビー)
トロイの長男。母親はローズではないらしい。
定職に就かず演奏家を目指す。
小遣いを父にせびに来る時だけ実家に顔を出す。
トロイとは仲が悪いが弟思いでもある。
ボノ(スティーブン・マッキンレー・ヘンダーソン)
トロイの親友。少年期からの仲で同じゴミ収集車で働く。
気のいいおじさん。
最後は妻に冷蔵庫を買い与える事が出来てホッと胸をなでおろした。
感想
邦題は「フェンス」なんですが原題はFences(複数系)なんですね。
その原題が表すように、(むしろ原題が素晴らしい)
トロイを始め
ローズやコーリー、ライオンズや友人のボノまでもが
様々なフェンスに囚われていて
それを描いた作品でした。
トロイは自分の過去と成功しなかった現実に囚われていたし
ローズはトロイに全てを捧げたにもかかわらず、実は自分の居場所は無く
逆らえない夫にずっと囚われていました。
次男コーリーはもとより
長男ライオンズも一見自由な身であるようですが
やはり夢叶わず、まっとうな道を歩む事が出来なかった。
そんな中、頭部を負傷し奇っ怪な行動と言動を繰り返すゲイブだけが
戦争に参加し、負傷した過去や今の姿に囚われる事無く
自由な心を持ち続ける事ができたのは
皮肉としか言いようがありません。
しかし、その彼だからこそ
最後に奇跡とも言えるシーンを作り出す事が出来たのは
誰の目にも明らかでしょう。
作品最初は長台詞のオンパレードで面を喰らいました。
しかし中盤から雰囲気が変わり、後半に向けて複雑な人間模様を描いて行きます
ここには書いてませんが、「えっ」と驚くような出来事も起こります。
生きてる限りは何かに縛られ、何かに囚われる事も人生にはありますよね。
でも最後は少しホッとさせてくれる、そんな作品でした。
さあ、日本劇場未公開作品「Fences」
一度は見てみても損は無いのではないでしょうか。
見る人によってはトロイが憎くてしょうがないかもしれません。
しかしバットを振って倒れた時に「笑っていたような気がした」
という台詞を聞いた時に
彼なりに一家を支え続け、それをやり終えたのだなと。
そんな風に思いました。
サメ映画「海底47m」続編も決定!ロスト・バケーションに並ぶシチュエーションスリラー(原題:47 Meters Down)
海底47m
2017年公開
監督 ヨハネス・ロバーツ
キャスト マンディ・ムーア
クリス・J・ジョンソン
ヤニ・ゲルマン
ようこそ深海47mへ。
画像で分かると思いますがそう、サメ映画です。シャーッ!←(サメ)
劇場公開されて2ヶ月経っている映画なんですね。
この作品を知ったのは本当に最近で
たまたまトレーラーを観て「面白そうだなあ」と思っていて
数週間前ですが、たまたまプレビ伊勢崎でやっていたので鑑賞しました!
以前紹介したサメ映画NO1の「ロスト・バケーション」とはやや趣が違う
けど、深海に取り残される恐怖と酸素残量との戦いとサメの群れと当てにならないメキシカンを織り交ぜて
途中、何度も思わず声を上げそうになる90分でした。
ちなみにロスト・バケーションはこんな映画です。
ストーリー
慎重派の姉「リサ」と奔放な妹の「ケイト」
対象的な二人はメキシコで旅行を楽しんでいた。
そんな二人は、深夜に繰り出した酒場で二人の地元のイケメンメキシカンと出会う。
そしてシャーク・ケージ・ダイビング(檻に入ってサメ鑑賞)に誘われた二人は
消極的なリサが妹に折れる形で二人でサメ鑑賞に参加する。
そして不幸にもその鑑賞中に檻の中で海底に落ちてゆく二人
真っ暗闇の海底。
上でうごめくサメ達。
どんどん減ってゆく酸素量。
檻を出て浮上するにも潜水病を防ぐ為に5分間海中に留まらなければならない。
そしてボンベ中の窒素が脳に障害をもたらす。
果たして姉妹は無事に海底から脱出することが出来るのか?
キャスト
姉のリサ(右 マンディ・ムーア)と妹のケイト(左 クレア・ホルト)
今回のサメに襲われるヒロイン。
メキシコで旅行中の二人だが、実は姉は恋人にフラれ傷心中
テイラー(マシュー・モディーン)
どっかで見たことあるなと思ってたらマシュー・モディーン。今回はメキシコ人で船長役
海底に落下した姉妹と無線でやり取りする。
口癖は「ケージから出るな。ケージに戻れ。」
ハビエル(クリス・J・ジョンソン)
船員。テイラーのサポート役。この人も多分メキシコ人。
今回はメキシコ人らしからぬ行動で(風評被害)姉妹を救出しようとする。
しかしそこはサメの群れの中。
バカンス
深夜の町に繰り出し羽を伸ばす二人。地元のイケメン二人組に声を掛けられ盛り上がる
イケイケの妹ケイトと傷心中の姉リサ。
二人はここでシャーク・ケージ・ダイビングに誘われる。
酒の勢いもあってか、妹の押しに折れる形で二人は参加を決め、翌日ビーチで会う約束をする。
いざシャーク・ケージ・ダイビングへ
翌朝ビーチに現れる姉妹。イケメン二人も現れ約束通りにシャークスポットへ船で向かう
船でスポットへ向かう一行。かなりボロいが大丈夫か?
無事スポットに着き、撒き餌を始めるハビエル。バケツの中身は真っ赤。内容物は魚の血と内臓。
サメの大好物らしい。リサはちょっと引いている
写真のクレーンに注目
「あ、サメさんだ!」
さっそくダイビングの用意を始める姉妹。
初潜水の姉リサ。ダイビングの資格はあるか?と聞かれて「ある」と答えてしまう。
勿論資格など持っていない。今となればここで止めておけば
撒き餌の効果もあってか巨大なサメが檻の中の二人を取り囲む。はしゃぐ妹ケイト
にしてもデカイ
落下する姉妹
このあと姉妹はシャーク・ケージ・ダイビングを楽しむ。
しかし姉のリサがサメに恐怖感を抱き、パニックを起こしかけ船上のテイラーに引き上げを嘆願する。
船長のテイラーは自体を重く見て直ぐ様ケージを引き上げる。
が、しかしケージを釣るワイヤーが切れて、、、、ではない
船のクレーンが船体から外れ、檻とクレーンごと海底に落下していってしまう。
酷い!酷すぎるぞメキシコ船!
画像は落下していく姉リサ。きっと怒り狂ってるはず
ついに海底まで落下。深度計は47mを差している。辺りは真っ暗。無音の世界に絶望が訪れる
サバイバル
海底47mにクレーンと檻ごと取り残された姉妹
ここから姉妹のサバイバルが始まるのだが
二人が入っている檻の上部の扉に落下したクレーンが折り重なり自力では脱出不可能な状態。不幸に不幸が重なる。
妹ケイトは酸素ボンベとマスクを一旦外す事によって、檻の隙間から一人脱出し
無線が届く距離まで泳いで浮上する。
しかし船長のテイラーに「ケージから出るな」と言われてしまう。
テイラーは代わりのクレーンを用意し二人を引き上げると約束する。
信じて待つ二人。
しかし動き回ったケイトの酸素量は底を尽き始める。
今度は姉の番だ!
姉リサは意気揚々と檻から飛び出し海底で迷子になりつつも妹の助けを借り何とか脱出までこぎつける。
だいぶ端折ったけど、海底まで代替クレーンのワイヤーを携え助けに来たハビエルはサメに喰われている(酷い)
浮上
そして二人は幾つもの困難を乗り越えて遂に海上に!これで助かる!
画像は浮上する途中で発煙筒を焚き、サメの群れを見て驚く姉リサ
アップ過ぎてちょっと笑う。
エンディング
そして姉妹二人はテイラー船長らに引き上げられ無事窮地を脱する。
かに見えた・・・・・。
ここから伏線の回収が始まるのだけど、映画館で「まじかよ!」と思わず叫びそうになった。
その後はアッサリとしたエンディングだった記憶だけど見事に騙されました。
続編も決定してるようで次作も楽しみ。年に一回はサメ映画観たいじゃないですか?
NO1はロスト・バケーションだけどこの映画も面白かった。
グロ・ゴア表現も少ないので女性でも楽しめる作品、、、だと思います。
夏はもう終わって冬の気配が近づいてきてるこの頃。
レンタルされたら是非見て欲しいです。