映画「ロスト・バケーション」人食い鮫映画の中でダントツに面白い作品(原題:The Shallows)
ロスト・バケーション(PG12)
2016年公開
監督 ジャウマ・コレット=セラ
キャスト ブレイク・ライヴリー
オスカー・ジャネーダ
ブレッド・カレン
セドナ・レッグ
ジャネール・ベイリー
ディエゴ・エスペヘル
邦題がアレなので何の映画か分かりにくいけど人食い鮫が出て来る映画です。
90分弱という短い尺ながら非常に面白かった。原題のshallowsとは浅い、浅瀬という意味だそうです。
ちょっと前にWOWOWでやっていて録画だけしといたんですけど深夜に一人で観たら引き込まれてあっという間の90分。
「ジョーズ」に始まる人食いサメの映画って一度は見たことあると思うんですけど、その中でも一番好き。設定もシンプルで鑑賞に集中しやすい点も大きい。
自分は海なし県なのでサーフィンはしませんが、波が高い太平洋側の海岸によく遊びに行き、足の届かない所まで泳いでいって高い波に攫われ数回転し、岸に打ち上げられる遊びをよくしていました。(この遊びなんていうの?)
それは良いとして。
この映画は前半は完全にエロ目線でのカメラワーク。尻を後ろから撮ったりと何の映画か一瞬忘れそうになる甘美な時間。そして海岸や砂浜、サーフィンを水中から撮影する映像美。
途中カモメのお友達が出来たり、GoProと思われるカメラやSNSを使った現代的な物も出てきたり。
人食い鮫映画というよりサバイバル映画として観た方が正しいのかもしれない。
「127時間」っていうロッククラーマーのやはりサバイバル映画があるんですがあれを思い出しました。
ここからネタバレ
ストーリー
医学生でサーファーのナンシー。彼女はガンで母親を亡くし医者になる事に迷いを感じ始めていた。
そんな中、メキシコにある母親の思い出の地「秘密のビーチ」に一人訪れ母親との思い出に浸る。地元民とサーフィンを楽しむうちに日は暮れそこで巨大な人食い鮫と遭遇してしまうのだが
キャスト
ナンシー・アダムス(ブレイク・ライヴリー)
今作の主人公。
美人でナイスバディなサーファー。医学生で医者を目指す。しかしガンを患った母親を闘病生活の末に亡くし、医者になる事に迷いが生じる。
危機を脱する機転も利き、怪我をしたカモメを治す優しい女性
カモメ(カモメ科カモメ属)
今回の助演男優(女優?)賞NO1候補。止まれと言うと止まり、うるさいと言うと黙る名演技を見せる。キャスト・アウェイの「ウィルソン」的存在。ナンシーが吐き出したカニを食べるシーンは可愛らしい
酔っ払い(ディエゴ・エスペヘル)
今回のおいしい役。地元民。泥酔して海岸で生き倒れる。朝方起き上がってナンシーを発見!助けるかと思いきや"Shallow"な行動を取りサメに食われる。生きていたらきっと陽気な良いオヤジ
カルロス(オスカー・ジャネーダ)
地元民しか知らない"秘密のビーチ"まで乗せてってくれたナイスガイ。可愛い息子の父親
サメ(人食い鮫)
今回の敵役。クジラも仕留めるシャーク。執拗に主人公を狙い最後まで悩ませる。でも刺されるのは苦手らしい
秘密のビーチ
母を亡くし傷心中のナンシーはメキシコのある海岸を一人訪れる。そこは地元の人間しか知らないビーチ。カルロスという地元民と知り合い、片言のスペイン語でやり取りしそのビーチまで乗せていってもらう。
カルロスにお礼を言うナンシー。綺麗な海!
綺麗な海岸でご満悦そう。
沖で遊ぶ地元サーファー。頭の上にはGoPro。CMのワンシーンのよう
うおー!ワクワクする波
沖に向かう途中波を掻い潜るナンシー
すげえ!
そして時間は過ぎ、日が暮れ地元サーファーは浜辺に帰っていく。
最後の一本と一人波乗りするナンシー。あれ?まさかこの影は?
やっぱりサメだった。吹き飛ばされ海底に打ち付けられるナンシー。痛そう!
そしてついに襲われてしまう。嗚呼
負傷しつつもサメに仕留められて浮かんでいたクジラの死体に辛うじて辿り着く。噛まれた大腿部に大怪我だった。冷静にリーシュコードで止血。さすが医者の卵。この後、ピアスとネックレスで傷口を止める。さすが医者の
この後サメはクジラの死体に体当たりしナンシーを振り落とそうとする。海中に飛び込んだナンシーは何とか岩礁に泳ぎ着く
こちらは怪我を負ったカモメさん。痛々しい。ちなみにCGではないらしい(マジか)
岸まで数百メートル。とてもサメから逃げられない
日が暮れ気温が下がってくる。ラッシュガードを引き裂き大腿部に巻き圧迫止血。さすが医
夜が明け、海岸で泥酔し生き倒れていた地元のメキシカンがついにナンシーを発見する。ついに助かる!彼も満面の笑みだ。
しかしこの後彼はナンシーの期待を余所に、浜に置いてある彼女のスマホとバックパックをパクリ意気揚々と引き上げていく。しかし彼はその途中で海に浮かぶサーフボードを発見。それも頂こうと海中に入り、最後はサメに食われて帰らぬ人となる。ナンシーもその使えなさに絶句(ホントは泣いている)さすが笑いどころを知っているメキシカン!アディオス
日が昇り気温も上昇。ナンシーに疲労が伺える。あのメキシカンさえ使えれば今頃、、
そして昨日も居たあのGoProサファー達がまた現れる。ついにマトモな助けが来た!かと思った瞬間、豪快に喰われる。なんてこったい!これにはナンシーも唖然
結局二人共喰われ自力で生存の道を模索するナンシー。満潮の時間が近づき、岩礁に居られる時間もあと僅か。
そこで少し沖合に浮かぶブイまで泳ぐ事を決意する。しかしその距離30~40m。時間にして泳いで1分。サメまでの距離は30秒。とても間に合わない。
しかしそんなナンシーについに"使える"味方が現れる。それは「大量のクラゲ」
あの襲ったサメが"火傷サンゴ"に刺されるのを嫌がっていた事を思い出し、クラゲもきっと嫌がるだろうと予想し意を決して海中に飛び込む!
クラゲに刺されるナンシー。しかしここで止まる訳には行かない
お!サメも嫌がってるぞ!
クラゲさん達の力を借り何とかブイまで辿り着いたナンシー。ちょっと一息
しかしその後、あの変態ストーカー鮫がブイに体当たりをかましてくる。
支えていた鎖が切れ揺れるブイ。
ブイに備え付けられていた照明弾で応戦するナンシー。しかしサメはその程度ではビクともしない。にしてもデカすぎる口。目も逝ってるし完全に変態
もう打つ手なしかと思われた矢先、クジラの死体から流れ出た油?(腐食した脂肪?)が海に流れ出している事に気付く。そこに「くたばれ!」と照明弾を打ち込むナンシー。燃え盛る変態鮫。効いてる!効いてるぞ!
しかしここは海の上、海中に潜った鮫はまたナンシーを襲ってくる。さすがにここまでか
この後ナンシーはブイに繋がれている残った一本の鎖に気付く。その鎖は海底に繋がれその先にある残骸が彼女に「ある作戦」を思い付かせる。
ナンシーはサメの体当たりで鎖が切れて海中に沈んでいく事を予想し、傷口に巻いていたリーシュコードを鎖に巻きつける。予想通りに鎖はブイから離れ、鎖と共に海底に引っ張られていくナンシー。変態の攻撃を間一髪で交わす
鎖と共にどんどん海底に引っ張られていくナンシー。作品で一番好きなシーン。希望は水上ではなく水の底に。ジョナサン・ジョースターの戦いを彷彿とさせる
海底に辿り着いたナンシー。目の前にはブイの鎖を固定していた残骸が
ナンシーはその残骸を間一髪で交わし、止まれないサメはその残骸に突進していく
そして見事人食い鮫を退治!なんという機転!なんという勇気!凄すぎるぞナンシー!(興奮)
彼女は追いつめられた時に逃げるつもりなど無かった。むしろ退治しようとするその勇気に感動しました。いつの時代も食い気しかないサメはその欲望に身を滅ぼすんですね。
そしてその後彼女は力尽きて水面に漂っていた所をカルロスに助けられます。
そして1年後。重症を負った足も無事に治り、医者になったナンシーは妹と父親と3人でまたこの海岸に訪れます。あの日傷ついて人食い鮫を退治し、母親の死を乗り越えた彼女はきっと立派な医者になるのでしょう。一生の思い出に残るであろうビーチ。ここに来た時が一番お母さんに近づける時なのかもしれません。
あとがき
ちなみに負傷したカモメさんですが、彼もちゃんと助かりました。実はナンシーの患者第一号なんですね。あの演技CGじゃないところが驚きです。
エンディングで掛かっていた曲はsiaのBird Set Free(鳥のように自由に)という曲だそうです。飛べなかったカモメさんも今頃自由に飛んでいる事でしょう。
なんにせよとても良質な映画でした。GWも残り僅か。最後の息抜きに良い映画だと思います。またこういう映画紹介したいな。