映画「シェイプ・オブ・ウォーター」もう”彼”としか呼べない。イライザは自慰もSEXもする普通の女の子。R15(原題:The Shape of Water)
シェイプ・オブ・ウォーター
2018年 3月1日公開
監督 ギレルモ・デル・トロ
キャスト サリー・ホーキンス
更新の日付変わっちゃいましたが行ってきました!
映画の日なので人も多かったし女性客が多かったですね。
結構グロい映画なんですけど大丈夫だったのかな。
余計な心配はさておき、映画は面白かったです。
変わった映画だったなーというのが今回の印象です。
あらすじ
宇宙開発研究所に夜間の清掃員として働くイザベラ。
その研究所に南米はアマゾンから1体の生物が運び込まれる。
その”彼”は姿形は魚人、しかし二足歩行をし水中で泳ぎ
鋭い爪を持つ半魚人だった。
ソ連と冷戦下にあるアメリカはこの生物を研究し他国より優位に立とうと目論み
ホフストテラー博士とホイト元帥直属の警備員ストリックランドを送り込む。
ストリックランドに虐待される”彼”を目撃してしまうイライザ。
1週間後に迫った生体解剖を避けるため、”彼”を救おうと計画する。
果たしてイライザは”彼”を救えるのか?
そして生まれつつある絆は一体どんな結末を迎えるのか?
ここからネタバレ
キャスト
イライザ(サリー・ホーキンス)
朝から毎日お風呂場で自慰をしたり、踊ったり、映画を観たり、空想をしたり
声を出せない以外は普通の女の子。
幼少期に声帯を親に切られ捨てられていた過去を持つ。
そんな暗い過去を感じさせない不思議な魅力を持つ女性。
そんな女性だからこそ”彼”に恐れる事無く近づけたのか
手話でストリックランドにF◯ck Youと言ったあと、ありがとうと誤魔化す下りはこの作品でも1、2を争う迷シーン。
脱いでもナイスバディだったのは印象的だった。
ストリックランド(マイケル・シャノン)
ホイト元帥直属の部下であり”彼”の監視、警備役。
性格は野心家でもありサディスト。
イライザとその友人ゼルダの前で
「用を足す時に二回手を洗うのは臆病者のすることだ」と言い張る。
意味が分からないが、男らしくいたかったのだろう。
ポジティブシンキングが愛読書。
いきなり指を二本噛み切られ、”彼”への虐待は増してゆき
その結果自身の立場を危うくしてしまう。
身から出た錆なのか、軍部とはそういうものなのか
少し気の毒でもあった。
ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)
カツラを被るゲイであり、イライザが住むアパートの隣人。
会社をクビになり、今は時代遅れのイラストを書き生計を立てている。
パイのチェーン店に勤める男の気を引こうと足げく通うが
ストレートの男の手をいきなり触ってしまい、袖にされてしまう。
しかし、その結果がイライザが立てた半魚人の彼を救う計画に参加することを決意させる。
劇中、頭から毛が生えてきて歓喜したりストリックランドの新車に突っ込んだり
結構笑わせてくれるキャラ。
でも凄く良い人。
半魚人(ダグ・ジョーンズ)
水陸両用の半魚人。
鋭い爪を持ち、牙も鋭利。
生殖器も持ち、実際にイライザとセックスもする。
ペットの猫を頭から食うシーンは結構グロかった。
体が青く光ると不思議な力を発揮する。
傷を治したり、髪の毛が薄い人の毛髪を増やしたり。
弾痕ですら一瞬で治す力は神そのものだったのか。
皮肉だったのは、虐待と生体解剖ではその事実すら気付かなかったであろう事。
感想
グロくてジメジメしてて、なんだかずっとシケッてるような感覚になる映画でした。
水がタイトルなのでしょうがないんですけどね。
公開が梅雨時期じゃなくて良かったなと思いました。
キャストの解説のところでも書きましたが、生々しい描写もあって
スッキリする映画ではないです。
しかし所々綺麗な場面、美しい描写もあり
笑える場面もあります。
特にFuc◯ youのシーンとジャイルズに髪の毛が生えてきて、”彼”を逃がすのを一旦やめて様子を見ようの下りは吹き出しそうになりました。
そして最後のお別れのシーンで、”彼”がイライザと手話で会話するのですが
”彼”が「離れたくない」と訴えるシーンは危うく泣きそうになりました。
この映画のミソは、観た人を絶対感動させようとか、クリーチャー面白いよとか
イライザは素敵なんだよとかじゃなくて
ギレルモ・デル・トロが「俺が全身全霊を込めた映画を観てくれ」
という作りになってるんですね。
だから自慰シーンや、腐った指を引きちぎるシーン
ストリックランドが奥さんを性処理のように抱くシーン
ゲイのジャイルズがストレートの男と親しくなろうというシーン
”彼”が猫を頭から食うシーン
イライザが”彼”とセックスしようとする(結果した)シーンもあります
そういった生々しさが随所に描写されています。
逆に言うと等身大の、生々しい人物描写と生々しいクリーチャーを
リアルに、そして伝記かおとぎ話風に恋愛映画として描きたかったのかも知れません。
なので少し倒錯的なシナリオや脚本であるとも言えます。
人に薦めるか?と言われたら答えはNOでしょう。
確実に言えるのは万人受けする映画ではないのです。
そしておとぎ話なので結末も伏せます。
それでも観たい方は実際に観て結末を知って自分自身の感想を抱いてみて下さい。
でも、この映画を観て自分自身の中で確実に変わった事が一つあります。
それは、前の紹介時の記事では「半魚人」と
どちらかと言うと馬鹿にした呼び方にしていたあの生き物を
”彼”という人間に近い認識として呼ぶようになった事です。
もう、この映画を観てしまった後では物や動物扱いが出来なくなってます。
特に好きでも美しいとも思ってないのですが、もう”彼”と呼ぶ事しか出来ない。
なんなんでしょうこの差異は。
これがデル・トロマジックだとしたら、まんまと罠にハマッてしまったわけで
これが彼の描きたかった胸の内に秘めた、クリーチャーへの思いなのかも知れません。
そして最後は”彼”と抱き合って嬉しそうなイライザさんでお別れです。
ね?倒錯してるでしょ?