映画ブログ~鑑賞記録~

鑑賞した映画の紹介や感想です

「The Grey 凍える太陽」人間vs狼の群れ(原題:The Grey)

 「The Grey 凍える太陽

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オスカー続きで「レヴェナント」の紹介をしようと思ったのですが

大自然でのサバイバル&獣と戦う作品で好きな映画を思い出して、今回はその紹介をしたいと思いました。

The Grey 凍える太陽】(2012)

監督  ジョー・カーナハン

キャスト リーアム・ニーソン

               フランク・グリロ

               ダーモット・マローニー

               ダラス・ロバーツ

               ジェームズ・バッジ・デール

 

主人公のオットウェイは「96時間」のリーアム・ーニーソン。

最近は無敵なイメージが付いて回る彼ですが、「沈黙(サイレンス)」では棄教してしまう神父役を演じてましたね。

吹き替えは大塚明夫が担当。カッコよすぎで彼が好きなら吹き替えもお勧めです

 

 

※ストーリー

この映画の簡単な説明をすると

石油採掘場で働く彼等が休暇を取る為に乗った小型旅客機がアラスカのど真ん中で墜落し

生き残った7人で極寒の中、狼の群れと戦いながら生きる為に逃げる。というストーリーです。

 

生き残る為と書きましたが、この映画では人間に都合の良い出来事は一切起きません。

携帯の基地局などありませんし、救助隊は勿論、運良く助かるなどというラッキーも有りません。

自然は甘く無く怪我をした者に待ち受けるのは死のみです。

飛行機事故でほぼ全員が即死、残った7人がアラスカで狼達からどう逃げていくのか。

 

絶望のオットウェイ

主人公オットウェイは人生に絶望している所から始まります。

最愛の妻を病気で亡くし、生きる希望が無く

残された人生に絶望し、死んだ妻宛に手紙を書く有様。

「なんでこんな意味もない事をしているのか」彼が呟きます

ライフルで自殺を計ろうとさえします。

そんな後ろ向きなオットウェイですが、極寒のアラスカで狼に囲まれて、否応無しに足掻かざるを得ない状況に追い込まれます。

 

サバイバル開始

外は見渡す限りの雪。吹き付けるブリザード。気温は零下20度を下回り、火を焚き食料を集めサバイバルが始まります。

仲間から少しでも離れる隙を見せれば狡猾で獰猛な狼達に簡単に食い殺されます。

群れの縄張りは半径50km、行動範囲は500km

事故で死んだ方がマシだったのか、極寒のアラスカに残された方がマシなのか当事者になったとしたら一度は考えるでしょう。

 

ある者は隙を突かれ食い殺され、ある者は凍死、またある者は怪我をし退場を余儀なくされ、一人また一人と(人間の)群れは狼達の前で簡単に弱体化していきます。

 

無慈悲すぎる仕打ち

一か八か崖の上からダイブし命を掛けようとも神が彼らに微笑む事は有りません。

そんな勇気を示した者が追われる時に川に転落し不幸にも溺死する念の入り様。

なんて事だ!余りにも無慈悲過ぎる!

最後の一人になり胸が張り裂けそうなオットウェイは空に向かって叫びます。 

 

「なぁ神よ!なんとかしろ!なんとかしてくれ!奇跡をやらを起こしてみろ!」

 「このインチキ野郎!信じろと言うなら今すぐ見せてみろ!後じゃあだめだ!今すぐ見せてくれ!」

 

神からの応えは勿論ありません。深い森の中で静寂だけが彼を包み込みます。

 

「仕方ない…。一人で何とかするしかない…。」

 

そう悟り呟くも、最後には彼も精魂尽き果ててしいます。

死んだ仲間達の家族の写真を見ながら、妻の写真を見ながら彼はどんな事を思ったのか。

 

対決の時

気付くと狼達に囲まれ、そこは食われた他の動物達の骨がいくつも横たわっていました。

その中で一際大きなシルエットの狼がオットウェイを睨みます。

漆黒の狼。群れのボスです。

そう、そこは群れの巣でした。

このシナリオに仕掛けられた罠

オットウェイ等は最初から巣に向かって突き進んでいたのです。最初から

 

これで生き残る目がゼロになりました。

いや、そもそもハナからそんな可能性など無かったのか。事故で幸運にも生存した彼等も最初からこのアラスカで死ぬ運命だったのか。

じゃあ何故生き残ったのか。生き残った意味は?

 

人間だけが持つという概念。

それとは対照的に狼達に神は居ません。居るとも思ってないし生を受けてから一度たりともいなかったでしょう。

この極寒のアラスカで己の力のみで存在してきた動物と人間の最後の対決が始まります。

 

もう一度闘って

最強の敵を倒せたなら

その日に死んでも悔いはない

その日に死んでも悔いはない

 

オットウェイの父親が残した四行詩。

 

覚悟を決めた彼はボスと戦う為に酒瓶を割り拳に巻き付けます。

ボスを睨みつけるオットウェイ

 

悔いはない

彼はどんな思いで決意したか。

死ぬ間際の抵抗だったのか、神への怒りか、それとも人間のプライドか。同じ死ぬにしても死に方を選びたかったのか。

そして彼はどんな最後を遂げたのか…

エンドロールの後に答えはありました。

それはやり切った男の姿なのでしょうか?

 

その日に死んでも悔いはない

オットウェイ曰く典型的なアイルランド野郎(酒好きで喧嘩早く、しかも頑固)の父親も同じように対決を選んだでしょう。

やるべき事をやって力尽きた人間。後はあの動物達の骨と同じ様に朽ち果てるのでしょうか。

続編も後日譚も墓標もない。そんな少し儚い映画でした。  


THE GREY 凍える太陽 特報 -The Grey-