映画「イコライザー」そしてなりたいものになった(原題:The Equalizer)
イコライザー
2014年公開
監督 アントワーン・フークア
キャスト デンゼル・ワシントン
ヘイリー・ベネット
メレッサ・レオ
デヴィッド・ムニエ
デヴィッド・ハーバー
ウラジミール・クリッチ
以前マグニフィセント・セブンの記事を書いている時に知ったアントワーン・フークア監督の「イコライザー」と「サウスポー」この映画面白そうというだけで今まで観てなかったんですよね。そしてイコライザーをこの前やっと観ました!凄く面白かった!
過去の記事
デンゼル・ワシントンってもう老年(62歳)なんですね。
でも老獪な作戦と歳の割には素早い動き(失礼)時折織り交ぜる哲学的な台詞。ダイナーでの佇まいが渋いです。アクション映画ですが老年なりの味がこの映画の良いところでもあると思います。
そして画面上のバランスを取るのが娼婦役の若いクロエ・グレース・モレッツと超美麗なヘイリー・ベネットの二人。
そして悪党テディ役のマートン・ソーカスのと元同僚のメレッサ・レオの存在感。
キャスティングも好きでした。次回作も決まってるようですね。
ここからネタバレ
ストーリー
ボストンの「ブリッジ・ダイナー」という24h営業の店。その店の片隅に深夜独り佇む老紳士ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)
彼は昼間はホームセンターで働き、深夜いつも同じ時間にダイナーに現れ、お茶を飲み本を読む。同じ時間に現れる娼婦のアリーナと出会い知り合う。
売春婦という彼女の置かれている境遇を目の当たりにし、眠らせていた本当の自分を呼び起こし彼女を組織から救う。
売春組織をメチャメチャにされたモスクワのプーシキンは配下のテディをボストンに送り込み犯人探しを始める。
キャスト
ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)
ホームセンターで働く老紳士。過去に妻を亡くしており孤独な生活を送る。実は元CIA。しかし彼の正体が何者なのか誰も知らない。
アリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)
ロシアンマフィアの元で働く高級娼婦。その相手は政治家から金持ちの変態まで。
自分の未来に希望が持てない中、ロバートと出会い一時の癒やしを得る。実は凄く良い子。
マンディ(ヘイリー・ベネット)
アリーナの親友。彼女も同じ元で働く高級娼婦。しかしアリーナの秘密を守ったが為にテディに殺されてしまう。
スーザン・プラマー(メレッサ・レオ)
彼女も元CIA。ロバートの友人で良き理解者。
ウラジミール・プーシキン(ウラジミール・クリッチ)
今回の親玉。石油、武器、女まで売れるものは何でも売る新興財閥のボス。組織に楯突いた男(ロバート)を探し当てる為、モスクワから部下のテディを送り込む。
テディ・レンセン(ニコライ・イチェンコ)
元スペツナズ。プーシキンの配下のNo1。12歳で里親を殺しその後は特殊部隊やKGBに所属。恐怖で人を支配する悪役らしい悪人。配下のスラヴィ達を殺したロバートを探し当て次第に追い詰めていく。
スラヴィ(デヴィッド・ムニエ)
売春組織のボス。彼女達を殴るのは日常茶飯事。その行動が眠っていたロバートの正義感に火を付けて返り討ちに合う。9800ドルを受け取っておけば死なずに済んだ男。
ロバートとアリーナ
※人生で一番大切な日は、生まれた日と生まれた理由が分かった日
<マーク・テュエイン>
映画冒頭でのメッセージ。
「生まれた理由が分かった日」
哲学的ですよね。自分の夢が叶った日?最愛の人と結ばれた日?子供が生まれた日?誰かの役にたって充実感を感じた日?少なくとも人生に於いてそう感じる日は数える程だと思うんです。
いずれにせよ確かに作品の冒頭の時点ではロバートもアリーナもなりたい自分にはなっていない。
ロバートは過去にCIAで組織の為に人を殺めてきた。国の為に罪もない人を殺めたのかもしれない。
実は凄腕の殺し屋なのにそんな組織や自分が嫌になって行方を眩まし暗い過去を背負って正体を隠して生活している。
でも本当は善良で弱い人達の為にその力を使いたい。積極的ヒーローとでも呼べば良いのでしょうか。
片やアリーナはロシア(もしくは東欧)から夢を抱いてアメリカに渡って来る。本当は歌手になりたいのに現実は売春婦として無理やり働かされ、毎日憔悴していく。
そんな二人がダイナーで出会います。
「魚は釣れた?」ロバートが読む本の続きが気になるアリーナ。ロバートの穏やかな雰囲気に徐々に惹かれていく。
ロバートに好意を寄せるアリーナ。二人は一緒に会話をし、お互いの暗い部分を知りそれが二人を近づける。
歌手になりたいと夢を語るアリーナ。そんな彼女にロバートは「人はなりたいものになれる」と勇気づけます。「あなたの声は落ち着く」そう言われて嬉しくない男は居ません。良い褒め言葉だな。
そしてその後、ロバートは親しくなったアリーナが売春組織のボスのスラヴィに殴られる所も目撃するんですね。その場は堪えるんですが、ある日彼女が入院したことをダイナーの主人から知らされる。
そして様子を見にいった彼の目に飛び込んで来たのは、殴られて見るも無残になったアリーナの顔。その彼女を見て組織から救う事を決意します。
一度は封印した自分の能力。スラヴィ達がどうしても許せなかった。
それでも最初は98000ドルで彼女を開放してくれと取引を持ちかけるんですが、スラヴィに簡単にあしらわれます。
取引に応じずロバートを怒らせた彼等はたった19秒で全員殺されます。98000ドルと命を引き換えに
スラヴィは「お前は一体何者だ?」と言いながら絶命します。マジで何者なの?!
そしてボスがいるモスクワから元スペッツのテディという変態が送り込まれるんですが、正直ロバートが強すぎて敵じゃないんですね。彼を追い込んで行くんですけどそれは逆にロバートに目を付けられるわけで。
組織を壊滅させたい(壊滅させる事が出来る)ロバートは元CIAの友人スーザンの所に行くんですけど、力を借りに行ったわけじゃなく壊滅させる許可を得に行くんです。
古くから彼を知る友人なので彼の事をよーく知っている。
そこでロバートは
「誰かが許しがたい事を誰かにしている。赤の他人だが私なら何かしてやれる」とスーザンに告白します。
スーザンは「奥さんが愛したあなたは生きていたのね。進むべき道に進みなさい」
と彼を後押しします。
迷いが無くなったロバートに敵は居ません。
まずプーシキン所有の石油タンカーを挨拶代わりに爆破(大爆発!)し、対決の前にテディに会いに行くロバート
「俺は悪いことをしてきた。誇れないことを。あの自分に戻らないと私は愛する人に誓った。だがお前は例外とする」
流石にテディも顔色を変えます。焦ったテディはホームセンターで働く同僚を人質に取るんですが、ロバートの怒りに火を注ぐ結果に。
その後テディ達を簡単に血祭りに上げます。
ワイヤーで首吊りにしたり、ノコで喉を串刺しにしたり、レンジ爆弾使ったりやりたい放題。
宿敵テディもアッサリ片付けます。
と、普通ならそこで物語は終わりなんですが、この老人の凄いところはモスクワのプーシキンの所まで出張してボスまできっちり血祭りに上げるところ。
観客が期待する伏線など残さない。彼の生真面目な性格が垣間見ます(見えない)
彼が歩いた後はペンペン草一本残らない。殺すと決めた悪党は全員死亡。恐るべし積極的ヒーロー!
そして更に凄いのが、普通ならそのまま忽然と姿を消すと思うじゃないですか?
町のロシアンマフィアを一掃してボスまで殺して同じ町に居られるはずがない。普通なら周りを巻き込むからとか、危ないからとか、静かに暮らしたいとか考えるじゃないですか?
でもそうじゃなかった。普通に同じ町で同じ生活をしている。ホームセンターで絶対そのまま働いているはず。
これはホームセンターに強盗に来た犯人を探し出してハンマーでボコった翌日のロバート。血を拭き取りちゃんとお店に返す。偉い(偉くない)
これは「仲間を人質に取ったぞ」と聞かされるロバート。
もちろん笑ってます(嬉しそう)
これは地元の悪徳刑事を脅すロバート。動画を見せてドヤ顔。この後二人は半殺しにされます(証拠を握ってるのに)
これはやはり悪徳刑事を車の中に閉じ込めて、ガラス窓を開けたり閉めたりして遊ぶロバート。この後この刑事はバッジを取り上げられ何処かにブン投げられてしまいます。(酷い)
こんな感じで悪党には容赦ない彼ですが、善人には凄く優しい。
エンディングで彼に救って貰ったアリーナとも再会しご満悦なロバート。彼女は普通の生活を取り戻し歌手の夢を追いかけるのでしょう。
その後彼は行き場の無い人を救う広告サイトを立ち上げます。そこで救いを求める人達に手を差し伸べていくんですね。
最終的に彼と彼の周りの人達はなりたいものに皆なれました。
でもまだ謎がいくつか残ってます。
- ロバートの妻の死因
- ロバートがCIAを離れたきっかけ
この辺が次回作で明らかになるかな?なってほしいな。
結局スペッツでも敵わなかったロバート。じゃあ後はSASかメキシカンマフィアか自爆テロか超知能犯ぐらいしか相手が思いつかない。
でもどんな相手でもその圧倒的な強さでホームセンターでそのまま余生を過ごすのでしょう。ある意味恐ろしいヒーローですね。
あなたはなりたいものになれましたか?
例え今はそうじゃなくてもいつかなれるのだとしたら、それが「生まれてきた理由が分かった日」なのかもしれません。
最後にちょっとしか出演がなかったヘイリー・ベネットさんの画像を貼っておしまいです。
そりゃテディは血祭りになるよな。しょうがない。うん
映画『イコライザー』予告編 2014年10月25日(土)公開