映画ブログ~鑑賞記録~

鑑賞した映画の紹介や感想です

映画「グレイテスト・ショーマン」Never Enoughに見る映画の価値(和訳あり)

グレイテスト・ショーマン

今年度アカデミー賞で歌曲賞以外、評論家達に全く見向きもされなかった映画

グレイテスト・ショーマン

実際に映画を観て、全然そうではなかった。

気取った評論家まがいの意見など評価に値しない

思った感情を信じればいいと思っていて

更に深い解説をしたくて今日は記事を書きました。

それが上手く伝わればなと思います。

 

Never Enough


The Greatest Showman - Never Enough [Official Lyric Video]

 

 実はこの曲が、この映画で一番好きな曲なんです。

レベッカ・ファーガソン演じるジェニー・リンドが

既婚者であるバーナムに想い寄せ

その満たされない心の渇きと、恋心を歌い上げた曲です。

曲中に台詞は一切有りませんが、

ジェニーとバーナム

バーナムとその妻であるチャリティ

そして上流階級出身のフィリップと黒人のアン

この3組のそれぞれの心の動きを、表情や仕草だけで細かく表現し

感じた者へ強く印象に残す3分間になってます。

 

出だしの「you set off a dream in me」(貴方がこの夢(恋心)を目覚めさせたの)

の下りでジェニーはバーナムに視線を送る。

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バーナムが一瞬ジェニーに笑顔を見せたその直後

妻のチャリティはその二人の行動に一瞬不安そうに自身の両手を触るんですね。

彼女は二階席から夫の姿も勿論ジェニーも見えているんです。

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 配偶者であるはずなのに、別の女性とツアーをする事に決めた

しかし、チャリティからジェニーの表情は見えない。

その泡立つ不安感を上手く表現してると思うんです。

 

そしてカメラは移り、take my hand(私の手を取って)の歌声を利用するかの様に

フィリップはアンに小指を寄せ、手を繋ごうとする。

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ここではフィリップは彼女の様子を探っています。

そしてアンもそれに気付き、小指を出し彼の指と絡めようとする。

 

そしてまたカメラは移り、ジェニーの歌声に聴き惚れるバーナム。

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でも彼は彼女に対して特別な恋愛感情はない。

いや、全くないとは言い切れない。

しかし歌い手のジェニーはバーナムを想い、溢れる感激を歌に込め唄い続ける。

その歌声の情緒で、手を繋ぎ始めるフィリップとアン。

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そう二人はやはり両思いなのです。

アンの嬉しそうな顔が一瞬見えます。

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そしてジェニーの歌は佳境に入り、誰もがその歌声に聴き入る。

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バーナムも例外ではなく、Never Enoughと何度も感情的に歌い上げるジェニーの歌声に

驚きと感嘆とが表情に現れる。

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しかし彼はこのアメリカ興行の成功を第一に考える人間であり、

視線を彼女に釘付けにされるだけでなく

彼の視線は会場の上流階級の人達の表情を追ってゆく。

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そして観客の表情を観て、この興行は成功するぞと確信しエミを浮かべる。

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これはとんでもない歌姫だと気付く。

ここに、歌っているジェニーとバーナムの温度差があるんですね。

 

そしてその直後またカメラは移り

フィリップの両親が、アンと手を繋いでいる息子を見付け

なにやら怪訝そうな表情で視線を送る。

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そしてそこで彼女の事よりも両親の目を気にし、思わず手を離してしまうフィリップ。

それに気付き、深く、深く傷ついてしまうアン。

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そして離れていく彼女を追わない(追えない)フィリップ。

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この時のフィリップはまだ両親の価値観の呪縛に囚われています。

後になって後悔する経験、誰にでもあると思うんです。

なぜあの時素直になれなかったのかと。

色々な立場や周りの目が先に立って、肝心な相手の感情を置き去りにしてしまう行為や言動。

私達観客はそれを目の当たりにします。

 

そしてそんなバックグラウンドの中、ジェニーの歌は更に佳境を迎え

止まらない想いを歌に込めていく。

そしてこの女性(ジェニー)の歌は尋常ではないと気付いて完全に心囚われるバーナム。

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妻のチャリティはその魅了されているバーナムの表情を二階席から目撃してしまい、予感が的中してしまった感情を露わにする。

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身分や貧富の差を乗り越え、両親の反対を押し切り、やっとの思いで一緒になり

夫に全てを捧げ、二人の娘も授かり幸せな生活を手に入れたはずなのに

魅了されている夫の姿を片思いにも似た表情で見つめるチャリティ。

そんな彼女の表情を目撃した私達観客も

なんとも言えない、悲しいに近い

いや、過去に経験さえしているであろう切なさを感じます。

彼女の心中が痛いほど伝わってきてしまう。

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チャリティのその表情は

そんな事を思わせる素晴らしい演技だと思いました。

そして「(私はあなた無しでは)満たされない」と歌は終わり

そのあと破れんばかりの拍手で幕は下ります。

 

この歌の中だけでもこれだけの機微があります。

映画の評価とは受け取り手のその時の心理、心情も影響します。

或いは立場や経験や、生きてきた過去で意にそぐわない場合もあります。

しかし、そう感じたならそれこそが自身にとっての真実だと思うのです。

ああ、あの時自分は確かこんな時だったなぁと思いを馳せる時が必ず来ます。

そしてその時に感じた物がその時の真実だと思うのです。

そして年を重ねたなら、新しい発見があって

もっと深い感想を抱く。

それが映画の良い所です。

 

感情移入するならば細かい事は気にならなくなる。

逆に嫌悪感を抱けば細かい所ばかりが気になる。

これは映画だけでなく、それ以外の人間関係や社会生活でもそうだと思うのです。

映画の評価という物が万人に対してどれ程当てにならないかという事が

少しでも理解して頂けたなら

この記事を書いた、そして読んで頂いた甲斐があるというものです。

 

さあ、この映画の解説はこれが最後、ここまでです。

後はあなたがどう感じたか、

それはあなただけのものであって「This is Me」気にする事など無い

あなただけの感想です。

そしてたくさん映画を観て、お気に入りの映画を沢山見付けてくれたならいいなと

いつも思ってます。

 

Never Enough 和訳

私は息を潜め 様子を伺っている

今この時が続いて欲しいけれど

いつかは終わりが来てしまう

 

私の中にある夢(恋心)を

あなたは目覚めさせてしまった

今ではこんなに大きくなってしまった

この胸の鼓動が聞こえるかしら?

 

私の手を取って 一緒に感じて欲しい

もう、あなたなしでは、、、

 

数百のスポットライトや

夜空に浮かぶ星たちを手に入れたとしても

絶対満足しない 決して満たされない

 

金の塔だってちっぽけすぎる

例え世界を手に入れたとしても

絶対満足しない 決して私は満たされない

 

絶対に、決して

絶対に、決して

私は絶対に満たされない

決して満たされない

絶対に満たされない

私は、私は絶対に満たされない

 

数百のスポットライトや

夜空に浮かぶ星たちを手に入れたとしても

絶対に満足しない

決して満足はしない

 

金の塔だってちっぽけすぎる

例え世界を手に入れたとしても

絶対に満足しない

決して私は満たされない

 

決して、絶対に

決して、絶対に

私は絶対に 私は絶対に満たされない

絶対に絶対に満たされない

決して絶対に満たされない

私は絶対に満たされない

あなたなしでは私は満たされない

 

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