映画「バーニング・オーシャン」(原題:Deepwater Horizon)
バーニング・オーシャン
2016公開
監督 ピーター・バーグ
キャスト マーク・ウォルバーグ
ジーナ・ロドリゲス
ディラン・オブライエン
以前に"2017年 観たい映画"でも紹介した「バーニング・オーシャン」
今日観てきたのでその紹介です。
2010年にアメリカのメキシコ湾沖で起こった原油流出事故。その石油採掘施設(ディープウォーター・ホライゾン)を巨大なセットを建造して撮影されそうです。
3つに別れたセットを合わせると実際の石油採掘施設の85%にあたるそうで、建造に8ヶ月かかったそうです。これを一から作ったのかと思いながら観てました。
海洋のディザスタームービー(災害映画)といえばタイタニックやディープ・インパクトが有名ですがあれはCGでしたよね。
さてこの石油採掘施設、実際には海に浮いていて移動する「半潜水海洋石油採掘施設」というのだそうで動く事にも驚きですが、中でもディープウォーター・ホライゾンは最新鋭の設備を備えていてデッキの広さはサッカー場程、船倉には映画館やジムもあったそうです。
そしてこの施設は韓国で建造されスイスのトランスオーシャン社が所有。それをイギリスのエネルギー関連の大手BP社が借り手とし石油採掘を行っていたそうです。
GS経営からは手を引いたようですがエンジンオイルのカストロールでおなじみですね。
今回のこの映画、普段行く前橋のユナイテッド・シネマでは上演してなくて足利のユナイテッド・シネマに行って観てきました。
ここからネタバレ
キャスト
マイク・ウィリアムズ(マーク・ウォルバーグ)
トランスオーシャン社のチーフ技師。妻と娘を持つ父親。ハリウッド一労働者階級が似合う男。
ジミー・ハレル(カート・ラッセル)
施設の主任。渋すぎる現場監督。企業の利益よりも安全第一を優先する責任者。
故に利益優先のヴィドリンと意見が衝突する
アンドレア・フレイタス(ジーナ・ロドリゲス)
施設の船位保持操縦士。あんなでっかい建造物を動かす女。車好き
ケイレブ・ハロウェイ(ディラン・オブライエン)
施設の作業員。パイプ付近に居る人。イケメン
ドナルド・ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)
彼だけはBP社の社員。採掘の遅れを取り戻す為に安全管理工程を飛ばすよう指示する。
結果それが今回の未曾有の大惨事に。施設を"爆発させた"後「一体何が起こった?」は今作の印象に残るセリフ第一位
ストーリー
2010年4月20日、アメリカルイジアナ州沿岸から南東76km沖で石油採掘を行う巨大建造物「ディープウォーター・ホライゾン」
施設の所有会社トランスオーシャンで働く主人公のマイク・ウィリアムズ(マーク・ウォルバーグ)は3週間の勤務の為、妻や娘と別れヘリでディープウォーター・ホライゾンに向かう。
施設を借用するBP社は工期が大幅に遅れていた為にセメントテスト(パイプとパイプを固定するセメントのチェック)を端折り、それに怒った施設主任のジミーとBP社のヴィドリンで口論が起こる。
結局ジミーが折れる形で負圧テストだけは行われるものの、数値は異常な高負荷を示しジミーに不安が募る。
装置の故障だと決めつけたヴィドリンの指示で遂に採掘が始まってしまうのだが、、、
石油採掘
石油採掘ってどうやるのと思って調べたんですが、分かりやすく言うとB・ウィルス主演の「アルマゲドン」って映画で、巨大隕石に穴を空けるシーンがあります。
知ってる方は分かると思うんですけど、ドリルで掘削して深い所まで空けないといけないのでパイプをどんどん継ぎ足していくんですね。
そしてあの映画では掘削途中にガスが噴出して作業員が一人亡くなりましたが、石油採掘も同じ理論で海底の奥深くまで切削するのでパイプを継ぎ足していく、パイプはセメントで固定し、穴を空けた油田にガスを注入して圧力を加え石油を吹き出させるんだそうです。
地底にはガスは勿論石油等の可燃物が詰まってる。だからBOPという防噴装置があるんですが、圧を加えて逃げ場が無くなったガスや石油は簡単に突き破ってくるんですね。そして最終的にEDSという緊急停止装置でパイプをカットし切り離そうとしたんですが、パイプ自体が既に坑内で曲がっていてカット出来なかった為に施設は崩壊して原油流出事故に繋がってしまったというわけです。
実際にはあの採掘施設は1500m下の海底に沈んだそうです。
※こちらは本物の画像。
感想
そしていきなり感想なんですが、想像していたより映像の迫力は凄かったです。原油や泥水が逆流して吹き出すシーンとか、それにふっ飛ばされる作業員とか
最後ヘリパッドから海へ飛び降りるシーンがあるんですが、壊れた建造物が下の海に浮かんでるので落ちる場所を間違えると死ぬんですね。そういう意味で観ていて痛い。
心がじゃなくて痛覚が痛いと言えばいいのかな。
施設が爆発して金属が飛散する音だとか、音響も痛いんですね。
このピーター・バーグ監督の「ローン・サバイバー」というやはりマーク・ウォルバーグがタリバンの兵士に囲まれて逃げる戦闘映画を観たことあるんですけど、こっちも痛いんですよ。
逃げる為に崖石から滑り落ちるシーンとかめちゃくちゃ痛いし戦闘でボロボロになっていくシーンとか。
バーニング・オーシャンは痛覚に訴える映画なんですけど、じゃあめちゃくちゃ感動するかと言えば全然しなかったんですよ。(すいません)
隣で観てた嫁はボロボロに泣いてたので不思議だったんですけど、終わったあとその理由を聞いたら
その場に居た作業員の事を想像すると、あの炎や爆発を観ると涙が止まらなかったんだそうです。
ローン・サバイバーは最後少年が出てきてウルッとするシーンもあるんですけど今回は普通に最後まで観てしまいました。実際には11人もの方が亡くなっているのにです。
前回のヒトラーの忘れものは心がめちゃくちゃ痛かったし思わず声が出るほど驚いてしまったんですけどね。
その差が分からないまま感想を書いてしまいました。
恐らく上手く感情移入が出来なかったのかな。というのも主人公のマイクが施設の異変に気付くのは実はかなり後で、もう手遅れの段階なんですね。
マイクは実在する人物なので彼の行動を忠実に再現したんだと思うんですが、その前の段階でそれをジミーと防ごうと孤軍奮闘するアレンジや、爆発後のサバイバルをメインにしていればもう少し違った感想になったかもしれない。史実寄りなので仕方がないんですけどね。
凄いんだけど「ジーン」と来ないそんな映画でした。
でも採掘作業を強行したヴィドリンが泥水でドロドロになるシーンはに「そらみたことか!」と思いました。
さて、今回全く異なった感想を目の当たりにした作品なんですが観た人はどう感じるのでしょうか。
最近だと「ハドソン川の奇跡」も実録映画でしたがあの映画に近い印象でした。
マーク・ウォルバーグはまたピーター・バーグ監督と組んだ今年6月9日公開の「パトリオット・デイ」というボストン・マラソンのテロ事件のこれまた実録映画が控えてますが、多分それも同じ印象なのかなと予想してしまいます。
ちなみにエンディングで掛かっていたブルースはテキサス出身のギタリストGary Clark Jr.の「Take Me Down」という曲だそうです。良い曲です。