映画ブログ~鑑賞記録~

鑑賞した映画の紹介や感想です

映画「メッセージ」あなたが未来を紡ぐ方法(原題:Arrival)

メッセージ

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2017年公開 アカデミー賞音響編集賞受賞

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

キャスト エイミー・アダムス

     ジェレミー・レナー

     フォレスト・ウィテカー

     ツィ・マー

 

あらすじ

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言語学者のルイーズ・バンクス。シングルの彼女は時折夢を見る。娘ハンナの夢を。クスグリごっこで遊んだり、慈しんだり、愛をささやく夢を。そんな日常にあるニュースが呼び込む。巨大な宇宙船らしき物体が世界12カ所に出現する。

彼等と対話を試みようとするアメリカ政府は言語学の第一人者である彼女に白羽の矢を立てる。果たして彼等との対話は可能なのか?そして一体彼等はどんな目的で地球に現れたのか?

 

今日はユナイテッド・シネマ会員1000円デー!待ちに待ったメッセージを鑑賞してきました。場所はウニクス上里。初めて行ったのですがモールに入っている映画館と違って静かで落ち着いた雰囲気ですね。なんかマッタリとしていて休日という事を存分に味わいました。

近くにあるパン屋さんでカフェオレを買って日陰にいると気持ちいい風が吹いてきてとても心地よかった。ホント良い休日でした。

 

さて、肝心な映画の内容ですがこちらもトーンを落とし落ち着いた雰囲気の良い映画でした。コーヒーを飲みながらゆっくりと観たい作品。

この作品のテーマは「言葉」なんですね。「言語」と言ってもいい。「コミュニケーション」とも言え替えられます。原題はArrival(到着)という意味ですが「メッセージ」というのも良い邦題だと思いました。ではそろそろ紹介です。

 

ここからネタバレ

 

 

 キャスト

ルイーズ・バンクエイミー・アダムス

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言語学の第一人者。過去に軍でペルシャ語の翻訳をした経験を買われ、今回異星人の言語の解明に抜擢される。冒頭ではシングルマザーのはずだが物語が進むに連れ、その真実が明らかになっていく。

 

イアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)

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数学者。ルイーズと組み異星人言語の解明に挑む。今回は落ち着いた演技で新しい彼の一面を見せる。

 

ウェバー大佐フォレスト・ウィテカー

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ルイーズとイアンを異星人との対話に参加させる。今回の配役の妙とは彼の事。理性的な役がやっぱり合う。二人を信頼し作品に波風を立たせない役割。

 

シャン将軍ツィ・マー

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中国人民解放軍の偉い人。飛来した宇宙船に攻撃を仕掛けようとする。ステレオタイプな役だが作品には必要な役割だった。

 

飛来する宇宙船

アメリカ合衆国モンタナ州に突如、巨大な宇宙船が出現する。

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それはアメリカのみならず世界12カ所に同じように飛来していた。アメリカ、イギリス、中国、ロシア(2隻)、パキスタンシエラレオネ、インド、ベネズエラグリーンランド、日本(あと1隻は不明)

 

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ヘプタ・ポッド(7本脚)

軍は早速ベースキャンプを張り、彼等がどんな目的で現れたのか調査する為、言語学者と数学者を呼び寄せる。

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そして調査は開始され彼等の目の前に異形な異星人が現れた。その姿は大きく、7本の足で立ちヘプタ・ポッド(7本脚)と呼んだ。

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返信

しかし彼等の発する言葉(音)は理解不能だった。そもそも言語なのかすら解明できず、そんな折言語学者のルイーズはホワイトボードでの会話を試みる。

最初は「ヒューマン(人類)」そして「ルイーズ」

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それを見た彼等はついにメッセージを返してくる。

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どんな意味か理解は出来なかったが初めて異星人と対話した瞬間だった。

その後1ヶ月を掛け彼等の言語を解読していくルイーズとイアン達。データをコンピューターに落とし込み彼等の言語は表記文字だという事が分かった。

表記文字とは我々が使う漢字のような言語だ。その文字自体が意味を持つ。

例えば「未来」の未とは「まだ」という意味があり、未知、未明、未遂、未満など確定していない事柄を指す。つまり未来なら「まだ来ていない」という意味だ。「未」の一文字だけで意味が伝わる。それが我々の言語だ。

そして彼等はそれと同じ言語を使っていた。

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そして彼等の言語には始まりや終わりがない。円を描くのが特徴でそれ自体が人間のそれとは違っていた。最初や最後、未来や過去という概念が存在しない。そしてルイーズ達は徐々にその事も理解していく。

 

武器を使え

そしてルイーズ達は、この対話の最終目的

「なぜ彼等は地球に現れたのか?」と彼等に問いただした。

そして帰って来た答えは

「Use Weapon」(字幕では武器を与えるでした)

これを聞いた軍や軍人たちはヒステリックに反応する。その最たる行動が中国だった。

彼等は他の国々との通信を遮断し、宇宙船への攻撃を決定する。それに習いロシアや他の国も後に続いた。

実はそれより少し前、アメリカの軍人でマークス大尉が宇宙船を内部からC4爆弾で爆破させる事件が起きている。丁度その時居合わせたルイーズとイアンはヘプタ・ポッド達に爆風から助けられているのだ。

ルイーズは軍人達に「武器」と「道具」という概念の違いが無いのかもしれないと説得するが受け入れては貰えなかった。

そんな事を知らない他の国々は「武器を使え(与える)」と言った異星人達に対し攻撃の意志を示し宣戦布告までする。

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そしてルイーズはこの状況を打開すべく一人また宇宙船に乗り込んでいくのだが、、、。

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ここから更にネタバレ。(観に行く方は注意)

 

 

 

 

感想

そしてこの後、ルイーズはヘプタ・ポッドと最後の対話をし、解決策を模索するんですね。彼等は「3000年後の我々に人間の力が必要だ」とも答えました。

彼女は時空を自由に行き来する彼等の言語を理解する事で、彼女自身も未来が見えるようになっていました。

そして彼女が見たその未来から中国のシャン将軍と連絡を取る事に成功し、攻撃を中止させる事にも成功します。

しかし未来が見えるという事は自分の不幸な未来も見えるので、全てが良いかと言われればそうでもない。むしろ受け入れていく覚悟が必要になります。

その未来とは数学者イアンと結婚し女の子を産み育てるのですが、その女の子はガンで抗がん剤治療も虚しく亡くなってしまう未来だったんですね。

それを知っていて結婚をしたのはルイーズだけで、その真実を娘が生まれた後に知らされたイアンは彼女と娘の前から居なくなってしまいます。彼はその現実を受け入れられなかった。

だから最初からフラッシュバックの様に流れていた映像は母一人子一人だったんですね。

そして娘も亡くして一人ぼっちになってしまう。それでもルイーズはその人生を選びました。

ちょっと悲しい結末ですが、自分ならその人生を選べるか。余りにも難しい選択です。イアンの立場なら裏切られたと感じてしまうかもしれません。

 

冒頭でも書きましたが「言葉」というテーマ。言葉なくて関係は始まらないし、良い関係を作る事も出来ません。未来を紡ぐには思いやりや優しさも必要です。

ただ、言葉さえあれば良いかと言えばそうではない。投げかけ方、受け止め方によって関係が大きく変わります。驕れる者久しからずという言葉があるように。(今回の中国がそれに当たるわけですが)驕れる者は中々信用されないというのが実感です。

現時点での我々では「現在」から離れる事は叶いません。だからこそ余り奢り過ぎる事なく人と接し、良い未来を紡ぐしかないのでしょう。

作品最後の方でルイーズが「もしこの先が(不幸が)分かるとしたら関係をやめる?」と質問します。

そしてイアンは「それならもっと色々伝えたい」と返します。あの時のイアンは本心だったんでしょう。

結果的に二人は別れてしまいますが、あれは嘘ではなかったとルイーズも分かってくれているとそう思いたい。だからこそその未来を選んだのだとそう思うのです。

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さあ、今回の「メッセージ」観た人によって色々な捉え方がある作品だと思います。

あなたはどんな感想を持ちましたか?

 

ゆっくりじっくり観られる映画。幻想的な映像と独特な音響。観るなら映画館の方が良いと思いますよ。

余談ですがパンフレットも面白い作りでした。

 

 

『メッセージ』(オリジナル・サウンドトラック)

『メッセージ』(オリジナル・サウンドトラック)

 

 

 

 

 

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